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活動紹介

リヒトクライス第12回演奏会

2005年2月12日(土)14:00から、文京シビックホール大ホールにて「リヒトクライス第12回演奏会」を開催しました。

演奏曲目

イタリア語版の「水のいのち」は、本年5月にパレストリーナ音楽財団の招聘により行われた、コーロ・ソフィアイタリア公演で演奏したものです。

作曲 タイトル 指揮
高田三郎 三つの子守歌(女声合唱) 鈴木茂明
高田三郎

水のいのち(イタリア語版・本邦初演)

伊語題「L'Anima dell'acqua」

鈴木茂明
高田三郎 典礼聖歌 鈴木茂明
高田三郎 ヨハネによる福音 鈴木茂明

現地で絶賛を博したこの曲を、日本国内で初演いたしました。

リーフレット

「リヒトクライス《光の輪》第12回演奏会」のリーフレットです。

画像をクリックすると大きめの画像を見ることができます。

リヒトクライスとは?

リヒトクライス演奏会では毎回、合唱曲「水のいのち」「心の四季」などで広く知られる高田三郎氏の作品を演奏しています。高田氏の作品は日本語と音楽が密接に融合し、日本語が生き生きと表現されています。また、用いられているテキストの精神性・文学性が非常に高く、日本の様式性、時代性、民族性が深く内包されています。

「この高田作品の感動を少しでも、日本、そして世界に伝えたい」との思いから、1992年に高田作品のみによる演奏会「リヒトクライス演奏会」を開催いたしました。以来、11年間毎年開催を重ね、高田作品を掘り下げ続け、今に至っております。幸いなことに多くの皆様に演奏をお聴きいただき、多数の賛辞をいただけるようになりました。

指揮者・鈴木茂明氏からのメッセージ

〜「水のいのち」と「第九」〜

高田三郎先生の傘寿をお祝いしてスタートしたリヒトクライス<光の輪>演奏会は、お陰様で10回目を迎えることとなりました。先生が帰天される直前まで、殆どの団員と私は作品の解釈や演奏法について細やかにご指導いただきました。その貴重な時間の中で、人生におけるかけがえのない多くの示唆をも頂いたことに心から感謝しています。またその間は、ことばと音楽の密接な結合が魂に及ぼす大いなる力を体験させられた年月でもありました。

そもそもこの演奏会の発端は、ベートーヴェンの「第九交響曲」でした。以前から「第九」を歌い、聴きに行く大勢の人々を見て、日本人が心から理解できる邦人作品を毎年歌う演奏会があっても良いのではないか、否、なければいけないと考えていたことに始まります。そして、それこそ高田作品であり「水のいのち」であるとの思いが募り、私がやらなければと、いわば日本人音楽家の一人としての使命感に燃えてスタートしたのでした。幸い、私の指導する合唱団もその意義に快く賛同し、日本のために共に高田作品を継承しようと結束したのです。さらに二つの作品には根元的な共通点があることにも気づいたのでした。

19世紀初頭のウィーンでは、フランスでの革命後も封建制度が根強く残り、貴族と民衆の間には多くの格差がありました。そのような中、神によって造られたすべての人類は皆平等である、といった思想の盛り込まれた、文豪シラーの詩に作曲されたのが「第九交響曲」の第4楽章「歓喜に寄す」だったのです。そこにはやはり被造物である大自然への賛美と人間の尊厳、自由、平等、博愛が歌われています。

この数年来、イタリア、アメリカ等がその作品の真価に注目し始めた高野氏の詩は、人類の奥深くに流れる源流を感得させるような日本の「文学」であります。その詩を生かすために推敲に推敲を重ね、日本語による「文学」と「音楽」の高次での融合を成功させた高田作品は、正に至高の芸術作品と言えるでしょう。音楽様式の規模やジャンルは違っていても、作品の持つ高貴な精神性、芸術性において「歓喜に寄す」に匹敵する作品であるといえるのではないでしょうか。「人間を真の意味で導くことができるのは芸術家である」とショーペンハウアーは語っています。

ご承知のように、演奏会は聴衆の皆様があって初めて成り立つものです。日本の類い希な芸術合唱作品を未来の人々に正しく伝え残すためにも、皆様のご理解とご協力を頂きながら演奏し続けなければならないと、10周年にあたり新たな決意に満ちています。今後も、皆様と年に一度<魂の熟成の時>を共有できますことを祈っています。

これまでに頂いたお客様のメッセージ

加藤 信朗 様(哲学者)
高田作品は、すぐれた現代詩のいわば本質をつかみ取り、それを音楽として見事に造形している。詩は音楽である。そして、音楽は詩なのだ。それが人間の心をその奥底において形作る。
今日、教育の荒廃が世に嘆かれている。しかし、ギリシャの哲人プラトン、アリストテレスが教えるように、教育の基礎は正しい音楽教育にある。そしてその中心は歌曲にある。心底から唱和しうる歌謡を共有することなしに人の心に協和は生まれない。そして、心の協和はないところには真実国家共同体もない。
島田 三樹彦 様(劇作家)
私にとって、リヒトクライスの定期演奏会はなくてはならないものの一つである。高田三郎作品を聴くことによって、私の汚れた心が洗い清められるからだ。心というのは意外に汚れやすいものだと知った今では、心の健康診断「年に一度はリヒトクライス」を心掛けている。
高野 喜久雄 様(詩人)

人間の愚かさと出口の見えないこの混沌の中にあって、地上に真の覚醒をもたらすための音楽を、と常に願い続けた師の志をしなやかに引き継ぎ、その揺らめく灯火を手にかざし、まもりつつ進む人々。その歌声はいま、聴く人々の心に確かに引き継がれます。

一つ一つの灯火は小さくても、そこにはいつも天にささげられた大きな<光の輪>ができる。私たちのリヒトクライス!まさにこれは<希望>です。涙が涸れるほど歌ってください。涙が涸れるほど聴きましょう。まさにこれは<仕事>です。自分は誰であったのかを、間違いなく思い出すための・・・。

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